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建設業界の技能実習生受入の現実的な問題とは。。。 [技能実習生の法改正]

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建設業界での受入が増えてきているようです。

昨年のマイナンバー制度の施行もあってか、
ただでさえ人手が集まりにくい業界に
悪影響を与えているとも考えられます。

でも、この建設業界での実習生受入は、
モノづくり工場と違い、様々なハードルが立ちふさがります。


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以下は、2020年度までの時限的緊急措置として、政府が2015年4月からスタートした
外国人建設就労者受入事業の実態推移。
思ったより多く受入が進んでいる様子で、記事を読むと残業代入れても18万~。
日本人同等の給料かつ受入初期費用や往復渡航費、監理費のコストを考えると、
安く見ても20万強程度のコストにて受入を進めているようですね。

そして、月給35万の事例もあるようで、ある意味ビックリです。
下手すると40万前後のコストをかけていられるって、
建設業界ならではなのでしょうね。
実際の仕事内容も聞いてみたいですが。。。


15年度末まで600人受入れ/外国人就労者労災リスク低減
建設通信新聞 2016-01-15 1面
http://www.kensetsunews.com/?p=58976



若年かつ『それなりの』給料で働いてくれる人財は、
特に渇望してやまない最たる業界の一つです。

当然ですが、年を追うごとに労働力確保は厳しくなっています。

廃業するのであれば別ですが、今後も事業を継続するのであれば、
好む好まざるをえず、受入を増やしていく以外に、選択肢はありません。


しかし、この業界、特に様々問題があります。


・労働災害の防止

 実習生は、受入企業への配属前に数カ月の日本語の勉強をしますが、
 実際には、日本の建設現場で働いたことのある経験者は一人もいませんから、
 どれだけ作業が危険か、どんなことに気をつけていなくてはならないか、
 誰一人分かっていません。
 加えて、日本語自体、修得が薄ければ薄いほどに、その場その場での注意が
 身に沁みて伝わりきらない場合も少なくないのでしょう。
 
 また、一般的には入社前に安全衛生教育を行いますが、小さな会社の現実は
 なかなか十分には対応しておらず、ほぼほぼOJT、実地を重ねながら
 指導している状況でしょう。

 また、危険な業務であればあるほど、色々な足枷が多く、入国10カ月後の
 技能検定もかなりなハードルを設定していて、実際に制度活用が不可能ともいえる
 職種作業もあるかと思われます。

 これらを、如何にして結果として残念な労災事故につながらないように指導していくかは、
 組合ないし受入企業の問題として、まだまだ対策は十分ではないのかもしれません。


・外国人材の現場入場

 これも大きな問題です。
 建設現場には、特に外国人が現場入場することを、嫌っていた業界です。
 背に腹変えられず、今はもうほとんど大丈夫かと思われますが、
 もともとうるさい業界ですので、色々な資料に提出を求められます。

 それでも、次から次へと現場が変わりますし、
 都度都度その現場への入場手続きを必要とします。

 ある会社は、システムで個人情報含め登録しておけば、
 元請が提携している先であれば、入場がスムーズであったり、

 ある会社では、大手ゼネコンに必要とされる各種書面を
 事前に提出させたり、

 また、ある会社では、現場が変わるごとに、毎回資料を提出していたり。


 そして、監理団体である組合職員も、事前にお断わりをしておき、
 設定調整してもらって、初めて現場での実習風景確認ができます。
 軽々に写真も撮れないし、難しいところです。



・雇用契約書などの労務的な知識の圧倒的な欠乏

 そもそも日払いが常識の業界。
 しかもどんぶり勘定。
 日本の労働局が、それを許すことはありません。

 ただでさえ今は、低賃金だの、未払いだの、長時間労働だのと、
 問題がマスコミに取り上げられ、バッシングを受けます。

 受入人数が増えれば増えるほど、悪質な企業の労務問題は比例して増え、
 法改正を控え、いつにもまして、厳しくなることでしょう。

 三大帳簿といわれる、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿についても、
 まったく適当につけているにもかかわらず、つけている事業所が、
 胸を張って、ウチはまっとうにやってるから大丈夫、という状況です。

 36協定、それってなに?
 就業規則、作らなきゃいけないの?

 このレベルから指導を進める案件も少なくありません。

 企業によって、総務部があるように、一部署として成立するほどの
 作業量がある労務。
 数人規模の建設会社では、なかなか理解できない世界です。


 そして、どんな大きな工事案件でも、通常はそんな小さな会社が
 いくつも協力し合って現場を回しています。

 名前を聞く大手の従業員さんは、
 ネジ一本締められない、クギ一本まともに打てないことでしょう。
 
 そう、それでも大手にも零細にも、法律は平等に守る義務があります。

 例えば、特別教育が必要な職種は、人手が足りなくて、
 そんな悠長なことしている暇ないから、といって、
 1年目から2年目への移行申請期日を過ぎてしまったら、
 入管は、在留期間終了、実習中止、帰国してくださいとしか言えない。
 =会社都合による解雇となり、ペナルティを求められます。

 計算間違いでした。なんて言い訳も通用しません。
 給与の未払いがあり、改善がなされない時点で、在留期間は更新してもらえません。



・・・スミマセン。長くなりました。

本当に、様々な問題が発生します。

そして、受入を経験しないことには、その肌感覚は理解できません。

良かれと思って受け入れたら、雑務に追われて仕事にならない。

そんな声も聞こえてくるくらい。


これから受け入れる建設業界の皆様。

それでも、受入を進めなくてはならないと思います。

ついては、組合職員と十二分に都度都度相談しながら
慎重に準備を整えつつ、進めることをお勧めいたします。





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