外国人技能実習生の介護職種追加について、改めておさらいしてみます。 [介護 技能実習生]
厚生労働省の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」が
2016年1月21日、東京都内で約1年ぶりに再開されました。
この時には、「EPAの更なる活用方策について」でしたので、
外国人技能実習制度については、新しい情報はないものの、
当制度の法改正は、あくまでも2015年度内に成立を目指すとしているため、
現在、前国会から継続審議中である今、
ここで、約一年前の介護分野への技能実習生受入対象職種追加についての
具体的な条件案を『おさらい』してみました。
関係者並びに介護事業者の方々は、ご参考になさってみてください。
外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会
平成27年2月4日
厚生労働省のサイトより
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000073122.pdf
注:以下は、上記リンク先より、個人的にポイントとなるであろう部分を抜粋しました。
なお、ほぼ抜粋ですが、手前勝手な語句を追記しています。
(2)職種追加するとした場合の個別の検討事項について
① 移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化
介護については、従来のものづくり等の対物サービスと性格が異なることから、
「作業」ではなく「業務」として整理し、移転すべき介護業務の具体的な内容を
明示することが必要である。
‐ 必須業務:身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)
‐ 関連業務:身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)
‐ 周辺業務:その他(お知らせなどの掲示物の管理等)
認知症ケアについては我が国の介護技能の特徴をなすものであり、
また国際的にも技能ニーズが高まることを踏まえ、関連する知識等
の理解を伴うものとすることが重要である。
② 必要なコミュニケーション能力の確保
利用者・家族とのコミュニケーションのみならず、
同僚である介護職員や他職種との連携を担保する
介護現場で必要とされる基礎的な専門用語、
地域ごとの方言についての一定の理解も求められる。
1年目(入国時)は、業務の到達水準として
「指示の下であれば、決められた手順等に従って、
基本的な介護を実践できるレベル」
を想定することから、
「基本的な日本語を理解することができる」
水準である「N4」程度を要件として課し、
さらに、「N3」程度を望ましい水準として、
個々の事業者や実習生の自主的な努力を求め、
2年目の業務への円滑な移行を図ることとする。
実習2年目(2号)については、到達水準として
「指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を
一定程度実践できるレベル」
を想定することから、
「N3」程度を2号移行時の要件とする。
なお、緊急時の対応等や、介護記録の作成や利用者への説明のため、
「N2」程度(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、
より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)
が必要との意見もあった。
こうした日本語によるコミュニケーション能力を
実効的に担保できない場合、
介護現場の混乱や介護事故等のおそれもあることから、
確実に担保できる方策を講じることが適当である。
また、専門用語や方言についても一定程度の理解ができるよう、
実習実施機関による研修等を実施すべきである。
③ 適切な評価システムの構築
1年目修了時:
指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル
2年目修了時:
指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
3年目修了時:
自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、
利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
5年目修了時:
自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、
利用者の心身の状況に応じた介護を実践できるレベル
試験実施機関については、現行制度上求められる試験実施機関と
しての適格性を満たす必要がある。
その際、全国で適正に評価試験を実施できる団体であること、
試験実施について一定程度実績のある機関を設定することが
より望ましい。
④ 適切な実習実施機関の対象範囲の設定
介護福祉士の国家試験の受験資格要件において、
「介護」の実務経験として認められる施設に限定すべき
訪問系サービスは利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることから、
-適切な指導体制をとることが困難
-利用者、技能実習生双方の人権擁護、適切な在留管理の担保が困難
実習実施機関は経営が一定程度安定している機関に限定すべきであり、
その要件として、設立後3年以上経過した施設をその対象とすることが望ましい。
⑤ 適切な実習体制の確保
例えば掃除等、介護の中核的な業務ではない業務を担う労働力として
制度が利用され、適切な技能移転が図られない懸念がある。
介護は利用者の生命、安全に密接に関与するものであり、
介護サービスの質を低下させることなく、
介護業務を円滑に遂行する必要がある。
例えば、常勤職員総数 10 人に対し各年3人以上の技能実習生という配置は、
指導する立場の職員の目の届く範囲での実習実施体制の確保が困難となり、
利用者の生命、安全に影響する懸念があることから、
介護固有の人数枠を設ける必要がある。
技能実習生の数が指導する立場にある介護等の業務に従事する者の数を上回る場合等、
介護技能を移転するために適正とはいえない体制になることが想定されることから、
介護固有の枠組みを設定する必要がある。
技能実習指導員の要件を「5年以上の経験を有する者」としている。
しかし、介護分野においては、適切な技能移転を図るため、
介護に関する専門的知識・技術を担保することを目的として、
原則として介護福祉士の資格を要件とすることが適当である。
就労を開始する段階で、
技能実習生が介護に関する一定の知識、技術を修得している必要があることから、
入国時の講習については、
専門用語や介護現場におけるコミュニケーションのほか、
介護に関する基礎的な事項を学ぶ課程とすべきである。
適切なOJTを実施するためには、
実習実施機関に対し、自主的な規制を含め、
技能移転の対象項目ごとに詳細な技能実習計画書を
作成することを求めるべきである。
介護固有の要件を設定すべきである。
① 小規模な受入機関(常勤職員数 30 人以下)の場合は、
受入れ人数は常勤職員総数の 10%までとする。
② 受入れ人数枠を算定する基準となる「常勤職員」の範囲については、
介護の技能移転の趣旨に鑑み、
「主たる業務が介護等の業務である者」(介護職等)に限定する。
また、技能実習生の夜勤業務等、少人数の状況下での勤務や、
緊急時対応が求められる業務等については、
安全上の懸念が生じることのないよう、
業界におけるガイドライン作成等により、
2年目以降の実習生に限定するなど適切な対応を図ることが必要である。
⑥ 日本人との同等処遇の担保
「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること」
同等報酬要件の確認の方法
EPAの経験を踏まえ、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)による
同等報酬要件の確認の方法を参考として、
以下の運用上の取組を進めるべきである。
‐ 受入時:
募集時に同等報酬等の要件審査
就業規則(賃金規程)・賃金台帳にて同等報酬を確認
‐ 受入後:
訪問指導時の関係者のヒアリングや賃金台帳の確認、
実習実施機関から監理団体への定期的な報告
介護業界においては、上記の取組を進めるため、
ガイドラインの作成等を行うことが求められる。
⑦ 監理団体による監理の徹底
技能実習本体の見直しにおいて、
大幅に適正化等が図られることは、十分に評価できるものであり、
介護分野においても、今後具体化されていく本体見直しの内容に沿った取組を進める。
以上、抜粋紹介終わり。
なお、この時の報告では、
資格を取得した留学生への在留資格付与:専門的・技術的分野への外国人労働者の受入れ
についても触れています。
これは、留学生が資格を取得できたなら、専門ビザを発行し、
介護福祉士として日本で就労が認めましょう・・・ということです。
実習生ならともかくも、留学生が介護資格取得までの
渡航費から、就学にかかる費用、またその間の生活費を考えると、
なかなか難しいのかなとも思われます。
その点、実習生は、受入企業が様々負担するため、
比較的現実的ではないかと思われます。
どちらにせよ、法改正並びに介護職種の追加は、
各施設から益々声が大きくなっていることと思われます。
2016年1月21日、東京都内で約1年ぶりに再開されました。
この時には、「EPAの更なる活用方策について」でしたので、
外国人技能実習制度については、新しい情報はないものの、
当制度の法改正は、あくまでも2015年度内に成立を目指すとしているため、
現在、前国会から継続審議中である今、
ここで、約一年前の介護分野への技能実習生受入対象職種追加についての
具体的な条件案を『おさらい』してみました。
関係者並びに介護事業者の方々は、ご参考になさってみてください。
外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会
平成27年2月4日
厚生労働省のサイトより
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000073122.pdf
注:以下は、上記リンク先より、個人的にポイントとなるであろう部分を抜粋しました。
なお、ほぼ抜粋ですが、手前勝手な語句を追記しています。
(2)職種追加するとした場合の個別の検討事項について
① 移転対象となる適切な業務内容・範囲の明確化
介護については、従来のものづくり等の対物サービスと性格が異なることから、
「作業」ではなく「業務」として整理し、移転すべき介護業務の具体的な内容を
明示することが必要である。
‐ 必須業務:身体介護(入浴、食事、排泄等の介助等)
‐ 関連業務:身体介護以外の支援(掃除、洗濯、調理等)、間接業務(記録、申し送り等)
‐ 周辺業務:その他(お知らせなどの掲示物の管理等)
認知症ケアについては我が国の介護技能の特徴をなすものであり、
また国際的にも技能ニーズが高まることを踏まえ、関連する知識等
の理解を伴うものとすることが重要である。
② 必要なコミュニケーション能力の確保
利用者・家族とのコミュニケーションのみならず、
同僚である介護職員や他職種との連携を担保する
介護現場で必要とされる基礎的な専門用語、
地域ごとの方言についての一定の理解も求められる。
1年目(入国時)は、業務の到達水準として
「指示の下であれば、決められた手順等に従って、
基本的な介護を実践できるレベル」
を想定することから、
「基本的な日本語を理解することができる」
水準である「N4」程度を要件として課し、
さらに、「N3」程度を望ましい水準として、
個々の事業者や実習生の自主的な努力を求め、
2年目の業務への円滑な移行を図ることとする。
実習2年目(2号)については、到達水準として
「指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を
一定程度実践できるレベル」
を想定することから、
「N3」程度を2号移行時の要件とする。
なお、緊急時の対応等や、介護記録の作成や利用者への説明のため、
「N2」程度(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、
より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる)
が必要との意見もあった。
こうした日本語によるコミュニケーション能力を
実効的に担保できない場合、
介護現場の混乱や介護事故等のおそれもあることから、
確実に担保できる方策を講じることが適当である。
また、専門用語や方言についても一定程度の理解ができるよう、
実習実施機関による研修等を実施すべきである。
③ 適切な評価システムの構築
1年目修了時:
指示の下であれば、決められた手順等に従って、基本的な介護を実践できるレベル
2年目修了時:
指示の下であれば、利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
3年目修了時:
自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、
利用者の心身の状況に応じた介護を一定程度実践できるレベル
5年目修了時:
自ら、介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、
利用者の心身の状況に応じた介護を実践できるレベル
試験実施機関については、現行制度上求められる試験実施機関と
しての適格性を満たす必要がある。
その際、全国で適正に評価試験を実施できる団体であること、
試験実施について一定程度実績のある機関を設定することが
より望ましい。
④ 適切な実習実施機関の対象範囲の設定
介護福祉士の国家試験の受験資格要件において、
「介護」の実務経験として認められる施設に限定すべき
訪問系サービスは利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることから、
-適切な指導体制をとることが困難
-利用者、技能実習生双方の人権擁護、適切な在留管理の担保が困難
実習実施機関は経営が一定程度安定している機関に限定すべきであり、
その要件として、設立後3年以上経過した施設をその対象とすることが望ましい。
⑤ 適切な実習体制の確保
例えば掃除等、介護の中核的な業務ではない業務を担う労働力として
制度が利用され、適切な技能移転が図られない懸念がある。
介護は利用者の生命、安全に密接に関与するものであり、
介護サービスの質を低下させることなく、
介護業務を円滑に遂行する必要がある。
例えば、常勤職員総数 10 人に対し各年3人以上の技能実習生という配置は、
指導する立場の職員の目の届く範囲での実習実施体制の確保が困難となり、
利用者の生命、安全に影響する懸念があることから、
介護固有の人数枠を設ける必要がある。
技能実習生の数が指導する立場にある介護等の業務に従事する者の数を上回る場合等、
介護技能を移転するために適正とはいえない体制になることが想定されることから、
介護固有の枠組みを設定する必要がある。
技能実習指導員の要件を「5年以上の経験を有する者」としている。
しかし、介護分野においては、適切な技能移転を図るため、
介護に関する専門的知識・技術を担保することを目的として、
原則として介護福祉士の資格を要件とすることが適当である。
就労を開始する段階で、
技能実習生が介護に関する一定の知識、技術を修得している必要があることから、
入国時の講習については、
専門用語や介護現場におけるコミュニケーションのほか、
介護に関する基礎的な事項を学ぶ課程とすべきである。
適切なOJTを実施するためには、
実習実施機関に対し、自主的な規制を含め、
技能移転の対象項目ごとに詳細な技能実習計画書を
作成することを求めるべきである。
介護固有の要件を設定すべきである。
① 小規模な受入機関(常勤職員数 30 人以下)の場合は、
受入れ人数は常勤職員総数の 10%までとする。
② 受入れ人数枠を算定する基準となる「常勤職員」の範囲については、
介護の技能移転の趣旨に鑑み、
「主たる業務が介護等の業務である者」(介護職等)に限定する。
また、技能実習生の夜勤業務等、少人数の状況下での勤務や、
緊急時対応が求められる業務等については、
安全上の懸念が生じることのないよう、
業界におけるガイドライン作成等により、
2年目以降の実習生に限定するなど適切な対応を図ることが必要である。
⑥ 日本人との同等処遇の担保
「日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること」
同等報酬要件の確認の方法
EPAの経験を踏まえ、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)による
同等報酬要件の確認の方法を参考として、
以下の運用上の取組を進めるべきである。
‐ 受入時:
募集時に同等報酬等の要件審査
就業規則(賃金規程)・賃金台帳にて同等報酬を確認
‐ 受入後:
訪問指導時の関係者のヒアリングや賃金台帳の確認、
実習実施機関から監理団体への定期的な報告
介護業界においては、上記の取組を進めるため、
ガイドラインの作成等を行うことが求められる。
⑦ 監理団体による監理の徹底
技能実習本体の見直しにおいて、
大幅に適正化等が図られることは、十分に評価できるものであり、
介護分野においても、今後具体化されていく本体見直しの内容に沿った取組を進める。
以上、抜粋紹介終わり。
なお、この時の報告では、
資格を取得した留学生への在留資格付与:専門的・技術的分野への外国人労働者の受入れ
についても触れています。
これは、留学生が資格を取得できたなら、専門ビザを発行し、
介護福祉士として日本で就労が認めましょう・・・ということです。
実習生ならともかくも、留学生が介護資格取得までの
渡航費から、就学にかかる費用、またその間の生活費を考えると、
なかなか難しいのかなとも思われます。
その点、実習生は、受入企業が様々負担するため、
比較的現実的ではないかと思われます。
どちらにせよ、法改正並びに介護職種の追加は、
各施設から益々声が大きくなっていることと思われます。